東西16キロメートル、南北2.4キロメートルにわたって広がる日本最大級の海岸砂丘「鳥取砂丘」。夏や秋の黄金色の砂の世界とは一変し、冬に日本海からの寒波が流れ込むと、砂丘全体が一面真っ白な銀世界へと覆われます。黄金の砂と純白の雪がモザイク状に入り交じり、吹きつける強風によって雪の表面に繊細な陰影が刻まれる「雪砂丘」の光景は、世界的にも極めて稀な自然のアートピースです。
特に「馬の背」と呼ばれる高さ47メートルの巨大な砂丘列の頂上に立つと、足元に広がる白銀の稜線と、眼前に広がる冬の日本海の荒波が織りなす圧倒的なコントラストに言葉を失います。風速5メートルを超える季節風が吹いた翌朝には、乾いた砂の上にまるでさざ波のような幾何学模様を描き出す「風紋(ふうもん)」が広がり、朝日に照らされて浮かび上がる陰影は息を呑む美しさです。
砂丘から海岸沿いに西へ車を走らせると、白波打ち寄せる白兎海岸の丘の上に鎮座する「白兎神社(はくとじんじゃ)」に到着します。日本神話『因幡の白兎』で知られ、大国主命に助けられた白兎が八上姫との婚姻を予言したという物語から、日本最古のラブストーリーの舞台・最強の縁結びパワースポットとして全国から参拝客を集めます。新春には「結び石」と呼ばれる白い小石を鳥居の上や境内のウサギの像に奉納し、良縁や健康、家内安全を祈願する人々の温かい祈りに包まれます。
そして、冬の鳥取旅の真骨頂といえば、11月上旬に解禁される山陰の味覚の王者「松葉ガニ(ズワイガニ)」です。冷たい日本海の深海で育った松葉ガニは、引き締まった身の甘みと、濃厚でコクのあるカニ味噌が別格。香ばしい焼きガニ、プリプリのカニ刺し、熱々のカニすき鍋、そしてカニ味噌に地酒を注いで温める甲羅酒は、旅の記憶に一生刻まれる極上の口福です。さらに市街地中心部に湧き出る開湯120年の「鳥取温泉」に浸かれば、冬の寒さも心地よい温もりへと昇華されます。山陰の冬旅では、世界屈指のラドン含有量を誇る名湯三朝温泉の松葉ガニ宿や、海沿いの美肌湯皆生温泉と大山雪景色、さらには新春の神話の都出雲大社としまね和牛、砂像アートが輝く鳥取砂丘と砂の美術館など、冬の日本海ならではの美食と温泉を満喫する周遊コースも大人気です。